春の街
あゝ あゝ
*
こんな私も春には街で 笑いころげて暮らしてた
狭い部屋でも小鳥を飼って 好きな男にもたれてた
北の雪の列車に乗って 流れる景色に泣いたのは
夏から秋の境目で すべてが変える頃のこと
あゝ 海峡に陽が落ちる
*
そして私は無口になって 波の音聞き生きている
かごめばかりが賑わう海を 陽がない一日見つめてる
落ち着き場所もまた決めかねて 荷物も解かずに部屋を盗み
秋から冬へ日が薄り しげたくなればそれもよい
あゝ 海峡に雪が舞う
ふと歌い髪を揉みながら 港の外れに霞むのは
冬から春へ駆け足で 女の胸も溶ける頃
あゝ 海峡に風が吹く
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